2015-01-01から1年間の記事一覧

最近、自分の手を見て泣きだしそうになることがある。 ああ、大人の手だ、と思う。 それはすこし毛が濃くなったように思えるからかもしれないし、血管が浮いているからかもしれないし、すこし痩せて骨が目立つようになったからかもしれない。 こんな手になり…

火曜日の夜の話

郵便受けから夕刊を取り出したら郵便受けが大破した。そのことを考えながら晩ごはんを食べたら眠たくなったので、30分だけ眠ってから郵便受けの修理と洗い物をしようと思い、眠った。まだ8時くらいだった。 しかし、同居人の呼ぶ声で起きたときにはもう11時…

夏は来ぬ

もしかするともう夏が来たのかもしれない。 梅雨明けという話は聞いていないけれどとても暑くて日中に食欲は出ないし、都心でも虫を頻繁に見かけるようになったし、燃えていた緑の葉も太陽の眩しさにすっかり負けるようになってしまった。 でも、不思議なこ…

「読書は現実逃避にすぎない」は本当なのか

小説を読む、物語を読むとはどういうことなんだろう、と最近考える。そのきっかけは、最近友人に「小説なんて現実からの逃避にすぎない」と言われたからだ。それは果たして本当なのだろうか。(もちろん文字に限るわけではなく、映画なども同じだと思われる…

”父”という幻想――『アメリカン・スナイパー』

先日『アメリカン・スナイパー』を観た。面白かったがなんとなくもやもやした。なんというか、20世紀の天才映画監督クリント・イーストウッドが21世紀へと抜け出そうとして抜け出し切れなかったような、そんなもやもや感だった。 この映画は不完全な”父”の物…