妖怪ウォッチとポケモンにおける雑記

妖怪ウォッチが大ブームらしい。

 

僕は完全にポケモン世代で、幼稚園児のころに青・緑・赤が出て、小学校のときに金・銀が出た。

ポケモンカードもやっていたし、親と一緒にスーパーに行けばポケモンパン(シールがついてくる)をねだっていた。

 

周りの友人達もみなポケモンのゲームをプレイしていたし、ポケモンが社会現象となった感じは体験してきている。幼稚園の頃、ポケモンのアニメで起こった、いわゆるポケモンショックもおぼろげながら記憶にある。アニメ自体は親に禁止されていたので見ていなかったけれども。

 

今の子ども達にとっての妖怪ウォッチは、僕たちにとってのポケモンなのだろう。

 

そんな妖怪ウォッチが気になり、アニメを見てみた。

ポケモンで言うところのピカチュウジバニャンだと思い、ジバニャンが一番出てくるのだと思っていた。しかし、それが違うのである。

 

主人公にいつもついているのはジバニャンではなく、ウィスパーという妖怪なのだ。このウィスパーが何ともウザい。まず全くかわいくない。せなけいこ『ねないこ だれだ』の表紙に描かれるようなお化け的ビジュアルをしており、たらこくちびるなのだ。ジバニャンの愛らしさと比べたらもうダメダメである。

 

そして、このウィスパーは、主人公が新しい妖怪に出会うたびに「あれは○○という妖怪…!」とかいう役回りなのだ。言わば、漫画『テニスの王子様』(初期しか知らない)における堀尾的な存在なのである。ちなみに堀尾はテニスのウンチクに精通しているもののテニスは弱いというどうしようもない登場人物なのであるが、ウィスパーはもっとひどい。なんと、ウィスパーは妖怪の知識に精通していないのだ。常にタブレットを持っており、それで妖怪を検索するのである。まあ、これによってキャラが立っているのであるが。

 

次にジバニャンであるが、これがかわいいのである。猫だし。そして、特徴が性格にあるように思う。『シャーマンキング』の麻倉葉も顔負けのやる気のなさなのだ。主人公に呼び出されても、あまりにやる気がなくそのまま帰ってしまうこともある。最高だ。

 

そんな妖怪ウォッチのアニメをみているうちに、ポケモンを念頭において見ていたせいか、ポケモンとの違いが少し気になった。

 

まず、ポケモンはゲットするものであるが、妖怪は友達になるものなのだ。ポケモンにおいてはトレーナーとポケモンにおける上下関係が明らかにあるが、妖怪と人間は対等なのである。

 

そして、妖怪はポケモンと比べて非常に人間らしい。ウィスパーが妖怪の解説をするのもそうだし、ジバニャンがニャンKB(妖怪ウォッチの世界における)を好きなのもそうだ。人間と全く変わりがないのである。そのためか、アニメにも妖怪を主人公とした小シリーズのようなものが多くある。

 

そして、妖怪ウォッチはポケモンと違い、完全な現実世界をベースにしている。主人公は普通の小学生だし、アニメの内容も、トイレの大に入ったことをばらされて恥ずかしがる、みたいに小学生のときに本当に学校で体験しそうなことを描いている。

 

そしてこれが一番の違いであるが、主人公の目的の有無である。ポケモンの主人公は「ポケモンマスターになる」という確固たる目的を持ち、旅をする。一方で妖怪ウォッチの主人公は、特に目的を持たない。普通に小学生として生活をしているだけなのである。

 

ここには、資本主義とその限界のようなものを見てとることができるのではないだろうか。

確固とした目的(ポケモンマスターになる)を持ち、そのために何かを(旅を)するというのは、資本を増やすことを唯一の目的にして今も膨れ上がり続けている資本主義、禁欲的に資本を増やそうとする資本主義と相通ずるものがあるのではないか。ポケモンが社会現象だったころ(1996年〜)はまだ、資本主義の限界のようなものは見えてこなかった。むしろ、1991年にソ連が崩壊し、資本主義陣営はその勝利の余韻に浸っていた頃であろう。

一方で、我々は既にリーマンショックをはじめとして、資本主義が絶対的なものでないことを徐々に感じ始めている。資本主義は完全ではなかった、そのオルタナティブを探さねばならないと。その中で、「目的」の排除というものがその射程に入ってくるのである。そして、生活とは目的のなさをその根幹に置くものであるように思う。妖怪ウォッチの主人公ケイタは何も目的を持たず、ただ学校に行き生活をしているだけなのだ。もしかするとここには、強迫観念的に目的を持つことを強いられる資本主義社会への疲れも現れているのかもしれない。

 

つまりポケモンの主人公サトシは資本主義を体現する存在であり、妖怪ウォッチの主人公ケイタはポスト資本主義たりえる存在なのである。

 

もはや自分が何を言っているのかわからないが、ピカチュウジバニャンが戦えば、ネズミ対ネコである以上、ジバニャンが勝つのである。妖怪ウォッチサイコー。